その4
ケイコ



夜7時ジャスト、南玉連合の緊急幹部会が始まろうとしている

今日の会場は、印刷会社を営んでいるメンバーの家の協力で、倉庫代わりに使っている一室を借り、会議室に仕立ててもらった


...



「今日はみんな、ご苦労様。夜の急な集まりになったけど、臨時幹部会を始めよう。すでに周知のとおり、本田多美代が男女5人組に暴行を受け、足にやけどを負った。相手はその場で我々の勢力に対し要求を突き付けてきたことから、名乗りはしなかったが、排赤勢力の砂垣一派によるものとみて間違いない…」

トップの祥子による進行で、まずは粛々と多美が襲われた経緯を皆に告げている

「…幸い、多美の負傷は軽いもので、数日中に退院の見込みだが、南玉のリーダー格を卑劣な手段で手に掛けた行為は、断じて許すことができない!兼ねてよりの奴らによる挑発行為にも静観してきた訳だが、今回は明らかに我々に対する開戦宣言だ。よって、連中とは全面的に対決する姿勢を決したいんだが、みんなはどうだ?」

「異議なし!」

「断固戦うべし!」

「排赤勢力は徹底的に潰せ!」

皆に異論はなかった

まさに会場内は打倒排赤で、すでにひとつになってる…


...



「よし、排赤勢力とは全面対決。これで行くことに決する。じゃあ、これから当面の方針を決めていきたいんだが、まず、今日はOG代表として恵川先輩にも立ち会っていただいてる。先輩、よろしく…」

「ああ、よろしくね」

「それと、各校勢力のリーダーだった、おけいにもオブザーバーの立場で今日は来てもらった。彼女には、今回の戦いでは何かとアドバイスしてもらおうと思う。おけい、頼むな」

「うん」

私の隣の祥子にそう返事をすると、目で合図されたので、私は席を立って口を開いた

「皆さん…。まずは、この夏、自分の勝手で南玉を脱退して迷惑かけたこと、ここで改めてお詫びいたします。本来なら、みんなの前に顔を出せる分際じゃないんだけど、私にできることは何でもするつもりです。よろしくお願いします…」

私はこう言ってから、頭を下げた

”パチパチパチ…”

「おけい、こちらこそ、よろしく!」

「あんたが戻ってきたら百人力だ!」

拍手とみんなの温かいエール…

早くも瞳はウルウルしてるよ…