その5
追川
これは驚いた!
何とここまで店の雰囲気が一変しているとは…
ジャッカル・ニャンには、はっきり言ってやくざの影や匂いは一切ない
東龍会め…、完全に撤退したな
もっとも傘下の星流会は置いておきながらだろうが
...
昨日Gルートから情報が入り、東龍会がガキを投入して根城としていた総合娯楽センター、ジャッカル・ニャンからの撤退し、相和会への”荒らし”を認めた表明したことを知った
で…、さっそく、この店に出向いた訳だ
その結果はまさしくだった
Gはさらに仰天ネタを提供してくれた
なんと、東龍会が伊豆の明石田組系列下の”仲裁ルート”を通して相和会に謝罪と和解を申し入れたと‼
うーん、どういうことだ…⁉
...
西と強く結びついた伊豆のセレモニー後の相和会を眼前にし、本家の命で急に引いたってことなのか?
いくら何でも極端すぎるアクションだろうが!
第一、申し入れを受けた相和会だってキツネにつままれたようなもんじゃないのか
矢島や剣崎にしても、真には受けないはずだ
いずれにしても、予想通り動きが出た
果たして、この行き着く先はどこなのか…!
そう思いふけっていた翌日、更にネタが飛び込んできた
記者時代の仲間から電話がかかってきたのだ
...
「そうか。九州は手打ちにな…」
「ああ。だが、従来とはちょっと様子が違うように思える」
彼の口調で瞬間的に”感ずる”ものがあったが、俺はさりげなく聞いてみた
「うーん、だいたい九州のケンカはいつもこんな感じで上がっていたんじゃないのか?」
「そうなんだが…、今回は東陣営の球磨黒組が仕掛けたんだ。西陣営の南洲一心会の幹部クラス一人に発砲してさ。それに対して一心会は即座の報復に出て、球磨黒の事務所に火炎瓶を投げ込んだ。さらに、その翌日は球磨黒が一心会の組員一人に刃物で襲い、重症を負わせている。その翌日なんだ。西から調停の申し入れがあったのは」
うん…、彼が言うとおり、仕掛けた側が報復を受け、さらに二の矢で報復流血沙汰を起こした直後、手のひらを反して降参なんて不自然ではあるな
…
「確か”それ”、相和会が”セレモニー”をかます直前だったな?」
「そうさ。球磨黒の”後ろ”が全面的に非を認め、南洲一心会とその”後ろ”両方に頭を下げる意思を関東本家に申し入れた。それを受けた関東は、正式に東西互いのしかるべく立会人を入れて場を持とうと、西の本家筋に日程も併せてその段階で提案してきたってことだ。ルートには財界人を挟んだらしい。これも異例なことだろ?」
確かに地方の下部組織同士の手締めで東から西のトップへ申し入れ事態も珍しいし、こういった橋渡しに財界人なんてめったにない
これは、”特別”な話合いを希望したことを意味すると言っていいだろう
であれば…
フン…、なるほど…、そう言うことかよ!
...
「…もし、伊豆で相和会が西の大物たちを一堂に招待することを意識した関東本家の判断だったとしたら…。アンタ、どう見る?」
さすが、やくざ関連のネタに長年携わっているだけに、木が一本揺れれば森全体に目が行くらしい
「確信犯だと思う。最初から刃物で襲撃した段階での手打ちを申し入れって算段だったんだ。時期的にも”伊豆”の直前に合わせた。まったく大した芝居を打ちやがるな、関東のてっぺんは」
「なら、関東による九州での全面譲歩は西へのシグナルってことだな?」
「間違いないだろう。しかも、たかだか末端の下部組織の手締めでトップがトップに”打電”だ。東からのメッセージはもう明快だぜ」
「おい!そうなると、今週中にも神戸で取持たれる和解の場は…」
彼は必死に頭を整理しているようだった
...
「言うまでもない。対相和会の煮詰め直しも議題に含まれる。いや、むしろそれが本題さ。相馬が死んじまっても新しい相和会は予想以上の厄介者だという共通項をもちだすんじゃないのか?…であれば、ここは先般の”3者合意”に変更を加える必要があると…。関東はそう主張する。まあ表立ってではなく、その場ではそれこそシグナルのやり取りでだろうが…」
「じゃあ…⁉」
「…ちょうど、昨日こっちにも情報が入ったんだ。東龍会が非を認め、相和会に頭を下げるってこった。ガキを使って事実上仕切っていた店も手放したようだし。これで繋がったんだ。”この前提”のもと、しおらしく装って関西とお話さ」
「おいおい…、それなら関東は関西に相和会と”別れさせる”のが目的とかか?」
「そうさせたいだろ、本音は。だが、それが現時点ではさすがに無理ってのは承知に至ってるだろうし、だからこそ、伊豆の後を見定めて即動いたんだ。…それで神戸ってことは犬飼になるのか、仲介人は?」
「そうなるだろうな、おそらくは…」
神戸で東西間のコンセンサスができたとして…
相和会はそれは見越して手を打っているのか?
だとしたら…‼
追川
これは驚いた!
何とここまで店の雰囲気が一変しているとは…
ジャッカル・ニャンには、はっきり言ってやくざの影や匂いは一切ない
東龍会め…、完全に撤退したな
もっとも傘下の星流会は置いておきながらだろうが
...
昨日Gルートから情報が入り、東龍会がガキを投入して根城としていた総合娯楽センター、ジャッカル・ニャンからの撤退し、相和会への”荒らし”を認めた表明したことを知った
で…、さっそく、この店に出向いた訳だ
その結果はまさしくだった
Gはさらに仰天ネタを提供してくれた
なんと、東龍会が伊豆の明石田組系列下の”仲裁ルート”を通して相和会に謝罪と和解を申し入れたと‼
うーん、どういうことだ…⁉
...
西と強く結びついた伊豆のセレモニー後の相和会を眼前にし、本家の命で急に引いたってことなのか?
いくら何でも極端すぎるアクションだろうが!
第一、申し入れを受けた相和会だってキツネにつままれたようなもんじゃないのか
矢島や剣崎にしても、真には受けないはずだ
いずれにしても、予想通り動きが出た
果たして、この行き着く先はどこなのか…!
そう思いふけっていた翌日、更にネタが飛び込んできた
記者時代の仲間から電話がかかってきたのだ
...
「そうか。九州は手打ちにな…」
「ああ。だが、従来とはちょっと様子が違うように思える」
彼の口調で瞬間的に”感ずる”ものがあったが、俺はさりげなく聞いてみた
「うーん、だいたい九州のケンカはいつもこんな感じで上がっていたんじゃないのか?」
「そうなんだが…、今回は東陣営の球磨黒組が仕掛けたんだ。西陣営の南洲一心会の幹部クラス一人に発砲してさ。それに対して一心会は即座の報復に出て、球磨黒の事務所に火炎瓶を投げ込んだ。さらに、その翌日は球磨黒が一心会の組員一人に刃物で襲い、重症を負わせている。その翌日なんだ。西から調停の申し入れがあったのは」
うん…、彼が言うとおり、仕掛けた側が報復を受け、さらに二の矢で報復流血沙汰を起こした直後、手のひらを反して降参なんて不自然ではあるな
…
「確か”それ”、相和会が”セレモニー”をかます直前だったな?」
「そうさ。球磨黒の”後ろ”が全面的に非を認め、南洲一心会とその”後ろ”両方に頭を下げる意思を関東本家に申し入れた。それを受けた関東は、正式に東西互いのしかるべく立会人を入れて場を持とうと、西の本家筋に日程も併せてその段階で提案してきたってことだ。ルートには財界人を挟んだらしい。これも異例なことだろ?」
確かに地方の下部組織同士の手締めで東から西のトップへ申し入れ事態も珍しいし、こういった橋渡しに財界人なんてめったにない
これは、”特別”な話合いを希望したことを意味すると言っていいだろう
であれば…
フン…、なるほど…、そう言うことかよ!
...
「…もし、伊豆で相和会が西の大物たちを一堂に招待することを意識した関東本家の判断だったとしたら…。アンタ、どう見る?」
さすが、やくざ関連のネタに長年携わっているだけに、木が一本揺れれば森全体に目が行くらしい
「確信犯だと思う。最初から刃物で襲撃した段階での手打ちを申し入れって算段だったんだ。時期的にも”伊豆”の直前に合わせた。まったく大した芝居を打ちやがるな、関東のてっぺんは」
「なら、関東による九州での全面譲歩は西へのシグナルってことだな?」
「間違いないだろう。しかも、たかだか末端の下部組織の手締めでトップがトップに”打電”だ。東からのメッセージはもう明快だぜ」
「おい!そうなると、今週中にも神戸で取持たれる和解の場は…」
彼は必死に頭を整理しているようだった
...
「言うまでもない。対相和会の煮詰め直しも議題に含まれる。いや、むしろそれが本題さ。相馬が死んじまっても新しい相和会は予想以上の厄介者だという共通項をもちだすんじゃないのか?…であれば、ここは先般の”3者合意”に変更を加える必要があると…。関東はそう主張する。まあ表立ってではなく、その場ではそれこそシグナルのやり取りでだろうが…」
「じゃあ…⁉」
「…ちょうど、昨日こっちにも情報が入ったんだ。東龍会が非を認め、相和会に頭を下げるってこった。ガキを使って事実上仕切っていた店も手放したようだし。これで繋がったんだ。”この前提”のもと、しおらしく装って関西とお話さ」
「おいおい…、それなら関東は関西に相和会と”別れさせる”のが目的とかか?」
「そうさせたいだろ、本音は。だが、それが現時点ではさすがに無理ってのは承知に至ってるだろうし、だからこそ、伊豆の後を見定めて即動いたんだ。…それで神戸ってことは犬飼になるのか、仲介人は?」
「そうなるだろうな、おそらくは…」
神戸で東西間のコンセンサスができたとして…
相和会はそれは見越して手を打っているのか?
だとしたら…‼



