ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】

その12
祥子


「祥子さん!…連中、こっちに来ます‼」

南玉連合公認チーム、レッド・ドッグス一の巨体を誇り、今では静美をその右腕として支える大戸克子が、そう言って私の一歩前に出た

「克子、早まるな!」

「わかってます!」

連中は二手に分かれてるな

こっちに向かってくるのは、喫茶コーナーにいた3人ともう一人加わっての4人だ

残った3人は…

”キャー、やめて下さい‼”

ヤロー‼

若い女性客にたばこの煙吹きかけたり、ちょっかい出してるぞ!

フン…、そういうノリってことなら、こっちもガツンと行くぜ!

...


「あいつら!…祥子さん、止めないと‼」

「克子、落ち着けって!…今こっち4人がくるから、まずは話を聞いてからだ」

「たっこ、二人でスロット脇に待機してろ。こっちを注視して、GO出すまで決して何もするな‼」

「はい!」

「克子はここで私といろ。静美がじき戻ってくる。いいか…、私の合図なしで絶対に手を出すんじゃねえーぞ!」

「ええ、了解しましたよ」

大戸克子は”瞬間湯沸器”と異名をとる、直情型の暴れん坊だからな

ここでフライングされて連中の誘いに乗られちゃ元も子もないし

「マスターは、そのまま仕事しててくださいね」

「ラジャーだよ、南玉総長!(笑)」

マスターは私のことを全面的に信頼を置いてくれてる

この人の期待を裏切ってはならない…!

...


最初に口を開いたのは、スキンヘッドの男だった

私のカンでは、巨漢男だと思っていたが…

「お前、津波だな?バグジーと分けた女らしいな」

おお、いきなり直球で来たか

こっちも正面からなら、むしろありがたいわ

「アンタの察し通りだ。そう尋ねられれば、こっちはそっち、何者よってことになるよ」

「ふふ…、さすがに女ながら度胸がすわってるな(ニヤケ笑)。…いいか、言って?」

スキンヘッドは真ん中の巨漢男に伺い立てをしてるわ

「ああ」

「悪いが、名は言えない。だが、然るべき状況に至れば、俺がお前をヒットすることになる。ここまでで想像しろ」

「要は、こっちのこと承知の上で、私と敵対する立場ってことなんだな?」

「否定はしない」

「なら、もう一つだけ答えてもらおう。アンタ、秒殺オオカミさんか?」

「ちがう。…最も、そいつのことは知らない仲でもない」

「おい…、もう、そこまでにしてくれ」

ここで巨漢男が口を挟んだ

やはり、今日の”窓口”はコイツか…‼