ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】

その65
砂垣



真樹子と麻衣が会って話した概況は、前もって真樹子から報告を受けていた

当然、祥子や積田にも伝わっている

その結果、麻衣の提案には大筋で各トップとも、賛同姿勢のようだった

従って今日、麻衣と俺で、コイツの言う”別回線”の路線合意がなされれば、対大打への包囲網は張られたと言える

「…お前の3段階戦略には、みんな唸っていたらしいぜ。見事だとな。まあ、結局は相和会を動員するんだから、かなりデリケートな面もあるし、そうそう、きれいごとは通用しないけどな。だが、この局面ではベターな手法だよ。そこで、その戦略に於いて、俺の方の動き方なんだが…、具体的にどうすればいい?」

俺は率直に尋ねた

まずは麻衣の考えを聞きたかったんだ

コイツなら、先の先まで読み込んだ上で、戦略は練る

ならば、このオペレーションで、俺をどう活用するのか…

単純に興味もあるしな


...



「そうね…、まずは真樹子さんに言った通りよ。奴らの挑発に乗らないこと。アナタ達は”表”に出ないスタンスを保った上で、相和会が出られるタイミングまで、私とのラインでは奴らと対峙してもらうわ。ややっこしいけど、この場合は”顔出し”でね」

「うん…。要するに俺達は、麻衣に対する大打一派のリアクションに、あくまで麻衣とつながった旧愚連隊として、敵に向き合うってことだな?」

「その通りね。相和会の身内という顔の本郷麻衣と砂垣一派が連合を組んで、大打とケンカする。向こうには、このラインをはっきり知ってもらってね」

「…そうなると、諸星さんとは敵対関係だな…。正直、ずっとよくしてもらったんで、気が引けるわ…」

「あのさ、砂ちゃんは、あくまで東龍会が押し出している大打とケンカってことでいいんだよ。諸星の顔デカには、こっちからシグナルを出しておくから。ここらの水面下の操作は私に任せて」

「ああ、なら頼むわ。あの人も、坂内さんにはいいように使われて、気の毒なんでな。一般社会で親会社に逆らえないようなもんだよ。できれば、大打を返しちゃえる状況が拓ければいいんだけどな…」

「坂内次第になるわね、それは。まあ、私も顔デカには常に含みを持って進めるから。それでいいわね?」

やはり麻衣は深いところまで、考えを施していた

相馬さんがいなくなった相和会が、今回、諸星さんに容赦しないのは分かっている

だが、麻衣にここまで推し量ってもらえれば、状況次第で選択肢は巡るかも知れない…

...



「わかった。…それで、実際にお前はいつ、どんな当り口で奴にケンカを売るんだ?」

「…明日、ここに矢島会長と剣崎さん、それに静岡の明石田親分が来るのよ。もちろん、倉橋さんも立ち会う。そこで、私の”着手”が許可されると思うんだわ…」

なんだってー…???

相和会のトップどころ、ほぼ全員が麻衣詣でってかよ

おい…⁉

それって…、婚約披露パーティーの打合せとかだろうか?

いや、単なる顔合わせだけなはずはない

相和会は、本気で対東龍会に動いてきてるんだ!

「…だから、そうねえ…、今週の末ね、決行Xデーは。ジャッカル・ニャンのオープンに合わせて派手に乗り込んでくるわ。具体的には…」

その麻衣のプランは、大胆かつ綿密な読みが内包されていたよ

コイツ、会う度に進化してんじゃねーのか?