ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】

その64
麻衣



「NGなしのワル…。俺も会ったことはないが、それだけでどんなに危険な野郎か言い当ててるか…」

「うん…。大打とかって男、すこぶる”評判”よ、なにしろ。バグジーなんか、イカレ度は私をゆうに超えてるって言ってんだから、やんなっちゃうわよ(笑)」

「…」

優輔さん、なんだか黙っちゃった…

「どうしたのよ。ひょっとして、心配しちゃってんの?今度の敵がデンジャラスってことは初めから承知だし、まあいつものカンで、それがハンパないってのも感じてるわよ」

「心配とかは年中さ、そりゃあ…。今に始まったことじゃない」

「なら、違うことでなんかあるの?」

「…お前、ウチの組員でもないのによう…。いくらガサツな俺でも、これから麻衣のやることが相和会にとってどんな意味を持つのか、それくらいはわかる。不憫だよ…。他の下っ端なんかよう、自覚もなく、ちゃらちゃらしてるってのに…。クソッ!」

「…」

今度は私が言葉に詰まってた


...



私とフィンアンセとの真夜中の打合せは、30分ほどだった

婚約披露を控えながら、”その話”は一切なく、いわば”仕事”のことのみ…

しかも命がけの…

でも私、決して不憫じゃないよ

この”命がけ”は、それこそ彼との愛も、そのまんまひっくるめてだもん

私の生き方からすれば、それは幸せなんだよ


...



昼間、バグジーから私が”ヌルく”なってることを指摘された

アイツは、相和会の人間と一緒になることでって言ってたけど、要は相和会サイドに身を置いたことでの重しによって、私が本来の私自身をセーブさせちゃってる点を突いていたんだと思う

それは、今度の相手にはリスキーでもあると…

このタイミングで、いい忠告をもらったわ

その危険な敵ちゃんとのファースト・コンタクトには、その点を補完して臨めるってもんだ



...



優輔さんとの電話を切った後、ヒールズでしばらく”麻衣”相関図を見つめていた

いや、凝視だね

当然、今の状況では、いやでも大打に目が行く

だが、更に凝視し続けていると、”意外”な連中が浮かび上がってくるんだ

そいつらは…、相和会のチンピラ、それにそれ以外の、私を恨むたかが知れた小者連中だ

なんで、こいつらがクローズアップされるのか…

今は漠然としている

だが、私のカンが捉えた”そこ”は、現在の私自身にとって極めて重要なものだと思えてならなかった

なぜか…