ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】

その43
砂垣



「…東龍会が目指してることは、まあ、大打をクッションにして、ガキ社会からシノギを掠めるってのがベースなんだけどね、結局は。これから日本は、ますます豊かになる。ガキがゲームセンターや性風俗でもバンバン金を落とす時代が、もう間もなくやって来るよ」

まずは、ここの前提がスタートになる

「…世の中も、その低年齢層の需要に則した新たな商品やら産業を生んで、ますます膨張だ。そこから非合法のスタンスでゼニを吸い上げ、ガキ社会を一つの”市場”にしちまおうと…。これは、星流会の諸星さんが以前から描いていた青写真だよ。そして俺らをおっぺして、都県境にその試金石を敷いてきたんだ。もっとも、俺はそんな深いこと考えてる訳もなく、彼らの力をバックに悪さを積んできた訳でね…」

みんな苦笑いしてるわ

全く不徳の致すところ…、そう言うことだよ



...



「…今回、関東のいくつかの組が、俺と諸星さんのパートナーシップを、言ってみれば視察して、そのスキームを”習得”したんだ。中でも東龍会はご熱心で、早速導入ってことだ。ところが、そのまんまじゃ満足いかなかったらしい。そんで、ここのトップである坂内さんは、諸星さんの考えを超えたスキームを作った…」

隣りの大場は腕組みをして、眉間にしわ寄せてる

コイツには、俺の話すことはほぼ伝わっているからな

「…大打とタッグを組み、早くもこの都県境で実践に入ったんだ。ここでポイントになるのは、あくまで大打は星流会が使っているってことで、要するに東龍会は、後ろから糸を引いてるって訳だ」

ここのところは、後の話の伏線になる

俺は意識的に、ここで水を一杯飲んで、ちょっと間を取った


...



「…そこで、坂内さんが大打を動かして、やらかそうとしていることだが…、極論として”全部”だ」

この時点でその”全部”が何を意味しているのか…

出来ればこんな話、女子高生を前にしてしたくねえよ、ふう…


...



「わかりやすく、ここ都県境を奴らの”市場”として説明するよ。…新しくできたジャッカル・ニャンには、大打が入り込んでるのはさっきも触れたよな。で…、第一には店の売り上げアップを図るが、一方で、ここでの客同士のトラブルをネタにした、タカリの収益も稼ぎの柱に見込んでるよ」

どうやらみんな、店を舞台としたタカリで、さほどの”収益”になるのかよって顔してるな

「…肝心なのは、トラブルは偶発するのを待つんじゃなくて、起こすってことだ。店に集うガキを、あらゆるトラップで切り込むんだ。ほんのわずかなスキを探ってな。そして人の弱みを、日常的にストックしていく。その材料の積み上げで、”見込み客”に持って行くってやり方さ」

「…」

今度は”はあ?”って顔してるよ、こいつら…