ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】

その38
ケイコ



砂垣さんの問いかけに、祥子は間をおかず、きりっとした表情で答えた

「そういうこと。アンタに代わってやくざバックにつけて、一般の少年少女をたかってくる…。いや、もう来てる。…その根拠をここで一つ、報告するよ。昨夜、相川夏美先輩さんから、連絡があってね…」

相川先輩からの話は、私以外の南玉サイド5人には既に知らされていた

私には祥子が気を使って、あえて伏せる方針だったそうだ

「…ということでさ、そのある人物が手配した相和会の人間が睨みを利かせていたんで、大打の一味らしき数人があの決戦の場では、何のアクションも起こせなかったとね…」

そのある人物が本郷麻衣だってことは、もはや明白だ

しかも、現場に遣わされた人は、当日の混乱を避けるため、みんなに明かすのは後日にしたほうがよいと…

南玉サイドを代表して話を聞いた相川さんには、そう提言したらしい

おそらく、その辺の判断も麻衣から授かってきたんだろうね

文字通り麻衣は、枠外から祥子と一緒に戦っていたんだ

我々、みんなと共に…


...


「…三田村峰子さんの元へはさ、大打らの仕掛けでトラブルに巻き込まれた、都県境の若者たちから相談が目立ってきてるらしいんだ。そういう状況から、もう大打は私たちのフィールドに汚い手を突っ込んできてるって読んだ…。砂垣さん、アンタらは奴らの動き、どう捉えてるんだい?」

「かなりの危機感を持っている。…実は、知ってる人間もいるだろうが、S町のはずれで来週開店するプールバーを備えた娯楽施設、大打が張ることになってる。これは奴から直に聞いたことだしな。ジャッカル・ワンからもさ、ど汚い手段で客を引っこ抜いてるわ。もう奴らは攻めて来てる…、こっちはそう捉えてるよ」

砂垣さんの話しは、ここにいるみんな、ある程度は薄々感づいていたことみたいだが、一様にショックを受けた表情だったよ

もちろん、私も…


...



更に砂垣さんは、神妙な面持ちで、再び口を開いた…

「…これは、やくざと手を組むスキームを取り込んじまった俺の責任だ…」

この言葉に、みんなは無言のまま、じっと砂垣さんの顔に視線を投げかけた

まさか、この人の口からこんな言葉を聞くなんて…

私を含め、皆、そんな思いが胸に去来したんじゃないかな

「…大打は事実上、星流会の親筋である東龍会に雇われてる。まあ、そうなれば、俺と星流会がやってきたこととは比較にならない。吐き気を催すほど、エグくくるだろう。奴らは間違いなく、ガキ連中を枯れ木にするまでたかり続けるはずだ。何とかしたい…、そう思ってるよ。俺さ…」

俯き加減の砂垣さんはここまで話しすと、肩で息をして、大きくため息をついた