目を開ければ、周りに助けを乞う人だかりが円を描くように囲っている。

この場所はどこかの倉庫だろうか。

薄汚れていて、埃が溜まっている小汚い場所。

決まってなぜかこの空間を見る。


横には荷物が山積みにされていて、比較的広い場所で人々が這うように僕の足にしがみついてきた。

自分の手には鋭い刃を持つナイフを握りしめている。

しかし瞬きをした瞬間、手が赤く染まり握っているナイフから赤黒い雫が滴り落ちていた。

これは血だ。

周りで助けを乞うていた人々は皆血まみれで、顔がわからないほどぐちゃぐちゃの状態で転がっていた。

内臓らしきものが飛び散っていて、血生臭く血が苦手な僕にとって地獄絵図が広がっている。

突然のことに声が出ず、その場に固まってしまった。


次の瞬間思考が循環し、自分自身が人間を殺したなんてありえないと蓋をする。

僕が殺したのか……?そんなわけない……。

人間が人間を殺すのは冒涜であり、してはいけないことだから。

立ったまま絶望して顔が一気に青ざめた。


いつもならここで夢が覚めるのに、今回は少し違う。

僕の後ろに誰かが立っていた。

顔だけ振り返ると、そこにはフードを羽織った魔導士が身につけていそうなローブを身につけた男だった。

こいつは一体誰だ?


目を見開いて驚きに満ちていたら、肩を掴まれ正面を向けさせられた。

そして男はこう言った。


「お前は強い。だが自分が強いということを自覚していていない。それはなぜか?守りたい人がいないからだ」


アルマは僕に指示をくれると思うから、彼が新しい恋人であり守りたい人だ。

そう心の中で返せば、男もまた低く底から轟いてきそうな声で告げる。


「俺は止めはしない。しかしアルマに何かあったら、お前は間違いなく記憶を失うだろう。そして今見ている夢が現実になる」

「そんなわけない……僕は誰も殺さない」

「まあ、いい。これが夢だったらどんなによかったんだろうね。俺は現実を見せているだけ。主人のために人を殺して褒められたかったんだろ?違うか?」

「それは……」

「認めたくないだろうよ。とっとと消え失せろ」


男は騎士が持っていていそうな太い剣を僕に振り翳し、そこで目が覚めた。

勢いよくベッドから起き上がると、そこが牢屋であることを知る。