歩みを進めると、靴に粘り気のあるものが付着した。

黒ずんだ赤色だ。

棚に置いてある本にも血が飛び散っており、床には女性の頭と腕と脚がバラバラに置かれている。

男性の方は棚の引っかける場所に紐を吊し、自殺に見せかけて殺されていた。

その証拠に、もがき苦しんだ痕が首に残っている。




両方とも看守の服を着ている。

だから生臭かったのか……。

目を丸くして、その場に固まってしまった。

事を実感して、その場で吐いてしまう。

うわっ……汚ねぇ……。



鼻と口を押さえてよく地面を見ると、釘と血まみれのタオルが落ちている。

これで体を拭いたのだろう。

この釘は武器だろうか?


トンカチないのに、どうやって……?



よく考えると、とてもおかしい。

あいつは証拠を残すことがなかったと書いてあったはずだ。

それなのに、死体や武器を放置している。

なぜだろうか。

本当にアルマが殺したのか、はたまた赤の他人(確実に囚人)が殺したのかも分からない。

とにかくあいつを探して聞かなければ。



ところがこの資料室に、アルマはいなかった。

もしかすると隣の資料室βの方へ行ったのかもしれない。

βはこのαと違い、看守の情報が全て揃っている場所だ。

いわゆる看守のお偉いさんか来客しか入館できない場所である。

まさかここに入ったのか。


一番奥まで進むと、扉の近くに看守の男の頭がパックリと割れて倒れている。

この人から鍵をもらったんだな。


扉のドアノブを捻ると、普通に開いた。

普段は鍵がかかって閉まっているので、開くこと自体不思議だ。


入ったらすぐ目に入ったのは、床に散らばった看守たち。

殺されて全滅している。

幸いにもお偉いさんはいなかったけど、ここに避難してきた看守は全員死んでいた。



床は血まみれ。

全員の体に釘が打ち込まれている。

臭いもきつくて、クラクラしそうだ。

鼻を抑えて、異臭を我慢する。



が、肝心なアルマはいない。