階段を下まで降りて、平らな場所で曲がろうとしたら誰かとぶつかってしまった。

おでこに何かがぶつかり、銀色の鉄製床に尻もちをついてしまう。

額は赤く腫れ上がり、相手の方も尻もちをついていた。


よく見れば、オレンジ色の囚人服を着た三人組だ。

あの時の三人ではない。



ぶつかってきた男は、坊主で特徴のない顔をしていた。

他の二人も髪は茶色だが、それ以外特徴がない。

いわばモブのような雰囲気がする。

唯一の特徴といえば、筋肉質ということくらいか。


「おい!」


男がいきなり立ち上がったと思えば、威圧した声音で話しかけてくる。

こちらへ一歩ずつ音を立てて歩き、迫力のある身長に圧倒された。


こんな奴とは関わり合いになりたくないし、ここから逃げたいのに、いつもなぜ運が悪いのだろうか。

拳を握りしめ、僕も立ち上がって睨み返した。

しかし相手はそんな態度に笑いを飛ばしてくる。

なぜかゲラゲラと下品に笑われ、馬鹿にされている気分になった。

胸糞わるい。

やっぱりこいつらは囚人だ。


「見ろよ、こいつの睨み。弱っちぃな。俺にぶつかってきたんだ。たくさん殴ってやろうぜ」

坊主頭の男が笑いとばしてそう言うと、茶髪の男の一人が言葉通り僕のことを殴ってきた。

頬に拳が直撃し、手すりの下の棒に頭を打ちつける。

頭の中が片割れそうなほどの激痛が走り、頭から血が吹き出て床に少し垂れた。



もしここにアルマがいてくれたら、状況はまた違っていただろう。

会話を交わして終息できたのに、自分一人だけでは厳しい。


アルマは僕を騙していたらしいが、それも本当に騙していたのか曖昧である。

もしかして囚人に売ることはないかもしれないし、あいつなら信用できると今でも思っている。

ナイフで脅しただけで、殺すことはしなかったし。


それからは三人にずっと蹴られ、殴られていた。

本当は抵抗したかったし、殴り返したかったけど力の差がありすぎて起き上がるのさえ困難。

もはや立ち上がるのさえ諦めていたその時だ。


「邪魔なんですけど」

青い髪を刈り上げている鋭い目つきの男が下の階段からやってきて、抑揚のない声で話してくる。