「それよりさ。医務室に行きたいんでしょ?体触った時、傷があった」

アルマは僕に背を向けて、抑揚のない声で話しかけてくる。


やはり気づかれていたようだ。

理解していたからこそ、キスと乳首いじりだけしてきたのだろう。

そんなところにも、彼の優しさを感じてしまう。


小型ナイフで脅されていたはずなのに、やっぱり変だ。

病気なのかな?


「しかも医務室周辺に、囚人が三人いるとはね。少し話をしてくる。ここで待ってて」


僕が無言で頷くと、アルマは三人の方へ歩みを進めた。

壁から顔を覗かせると、そこにはオレンジ色の囚人服を着ている男女が医務室に向かっている最中。


一人は緑の髪に三つ編みをした長身の女性で、もう一人は黒い肌をした右目に包帯を巻いている僕と同じくらいの身長のお兄さん。

最後は屈強の体を持つ黒髪に紫の瞳の男で、三人揃って気を失っている大柄の男性を担いでいた。


女性がこんなところにいるんだなと思ったものの、それより衝撃的なことに気づく。

大柄の男は、さっき僕の心臓をえぐろうとしたあいつではないか!


恐怖で顔が青ざめてしまった。

壁から顔を下げ、一人縮こまって身震いする。

また殺されたらどうしよう。


しかし会話だけは聞こえてくるので、一応耳を傾けておく。