「手、繋ごうよ」

咄嗟にそう言われて、彼の左手が触れる。

暖かくて心地いい掌は、僕の心を癒してくれた。

前にいてリードしてくれるのにも、好意を持ち始めている。

二人で廊下を小走りで進んだ。



だがこの瞬間。

一つだけ疑問が生じてしまう。


なぜこの男は僕が看守だと知っているのに、こんなにも寛容に受け入れてくれるのだろうか?

囚人なら僕のことすぐさま殺すかと思ったのに。



「あの……」

「理由なんてない。アンタは面白いから一緒にいても安心できる。それだけだ」


僕の考えていることは、全てお見通しらしい。

話しかける前に答えを言われてしまった。



何を話そうかと考えていれば、彼はT字路のところで立ち止まる。

僕もそれに合わせて立ち止まり、彼の表情を見た。

満面の笑みを浮かべている。


本当は冤罪ではないかと思ってしまうほど、性欲が少し溜まっているただの優しい男にしか見えない。