店を出て川沿いを歩いた。
川面を渡る風が爽やかで水面はキラキラ光っている。
私はその爽やかな空気を吸い、軽く息を吐いた。
自然と背筋を伸ばして軽やかに歩いていた。


その時、背後から声がした。

「三崎さん・・・」

坂口さんが小走りに追いかけて来た。

「あのさ、良ければ連絡先教えて。」

「えっ?」

「君はどこに住んでいるの?」

「東京です。」

「じゃあ、東京でもう一度会おうよ。」

私は彼の顔を直視した。
迷ったが優しい目で見つめているこの人に対して悪い気がしなかった。
親切な人だし、お爺様とも知り合いだし、それに私は彼氏もいない・・・
また会ってもいいと思えたので連絡先を交換した。

「ありがとう。じゃあまた・・・連絡するね。」

彼は笑顔で戻っていった。
よく知らない人にこんなに簡単に連絡先を教えてしまった。普段ではありえない。


・・・旅先だから・・・


心に少しだけ温かい空気が流れたように感じた。