「いっしょに探してくれたんですよね。どうもありがとうございました」
男の子のお母さんが、とても丁寧に頭をさげてくれる。
「いえ、わたしはなにも……。お母さんと会えてよかったです」
恐縮しながら、わたしも頭をさげ返す。
お母さんと手をつないだ男の子は、去り際に、わたしに向かって小さな手をちょこっと振りながら、はにかむように笑ってくれた。
かわいいな。
弟の拓も、ちょっと前まであんな感じだったなあ。
男の子に手を振り返して、ふふっと笑う。
それから買い物の続きをするために別方向に歩き出すと、由井くんがふわっとわたしの横にきた。
「衣奈ちゃんは、変わらず優しいね」
「え?」
いつもは人が多いところでは由井くんに話しかけられてもスルーするのだけど……。思わず、反応してしまう。
由井くんが、変わらずと言ったのが、なんだか耳に引っかかったから。
「由井くんとわたしって――」
「おれ、衣奈ちゃんの優しいとこが好き」
由井くんの言葉に、わたしが口にしかけた言葉がかき消される。
由井くんに、そのまま溶けて消えてしまうんじゃないかと思うほど嬉しそうな顔でふわっと笑いかけられて。反応に困ったわたしは、口にしかけた言葉を飲み込んでうつむいた。



