「ううん、違う」
「そっか。じゃあ、ほかにユイって名前の子はわかんないや」
「いいの、いいの。連絡先ならわかってるし、わたし、しばらくここで待ってるから」
申し訳なさそうにする大野くんにそう言うと、彼が「そっか」とうなずいた。
「大野ー、まだかかりそう〜?」
少し離れたところで待たされていた大野くんの友達が、待ちきれなくなったのか、呼びかけてくる。
「悪い、すぐ行く!」
大野くんが振り向いて友達に答える。それから、またわたしに向き直って手を振った。
「じゃあ、三住、またな。あ、矢本にも、また遊ぼうって言っといて」
「うん」
わたしがアキちゃんの幼なじみだと知っている大野くんが、にこっと笑う。
大野くん達の集団が離れていくと、わたしは由井くんを振り向いた。
「あ、あのね……、由井くん……」
話しかけたら、由井くんは駅のほうへと去っていく大野くんの背中を怖い目でじっと見ていた。



