「うわー、数学の課題がこんなに早く終わったの初めてかも。ありがとう」
「衣奈ちゃんの役に立ててよかった」
わたしが笑顔でお礼を言うと、由井くんがちょっと照れたように、ふふっと笑う。
「理系が得意っていうのはほんとだね。由井くんの説明、すごくわかりやすかったよ。ほかに、なにか思い出したこととかある?」
褒めついでに聞いてみると、由井くんは首をかしげながら「うーん」とうなった。
その様子だと、特に思い出したことはないみたい。
「でも、高一の数学の問題がスラスラ解けたってことは、由井くんはもうこの単元は勉強済みだったってことだよね。てことは、由井くんの学年は高二か高三? あ、でも……。青南学院は進学校だから、授業の進み方が早いのかな。だとしたら、高一の可能性も捨てきれないよね」
わたしの数学の課題は早く終わったけど、由井くんのことを探る手がかりは、結局なにも得られていない。
由井くんにユーレイになる前のことを思い出してもらって、わたしから離れてもらうには、いったいどうしたらいいんだろう……。
「うーん……」
腕を組んで悩んでいると、「衣奈ー」とお母さんに呼ばれた。
「なあに〜?」
部屋のドアを開けて階段の上から返事をすると、リビングから廊下に出てきたお母さんがわたしを見上げた。



