朝起きると、今日も目の前に、青白くて綺麗な顔をした男の子の寝顔があった。

 布団もかけず、黒の制服のブレザーを着たまま背中を丸めて眠っているユーレイの男の子。

 初めの数日は、目覚めるたびに驚いて悲鳴をあげていたけど……。さすがに同じことが一週間も続くと、あまり驚かなくなった。

 学校の最寄り駅のホームで出会ってから一週間以上が経つが、由井くんは未だにわたしに憑いたまま離れてくれない。

 彼が忘れている記憶を思い出す様子もなく、アキちゃんの友達からの情報も今のところなし。

 自分でもなにか由井くんに関する情報を調べようと、ネットでニュースを検索してみたり、図書館に行ってなにか手がかりになりそうな記事が載っていないか新聞を調べてみたり……。思いつくことはいろいろやってみたけど、由井くんに関する手がかりはなにもつかめていない。

 この一週間、わたしがいろいろと手をつくしているのに、肝心の由井くんのほうにはあまり記憶を思い出すつもりがないらしい。

 毎朝わたしのベッドで目覚めて、わたしにくっついて学校に行って、帰り道にスーパーに寄って。

 家に帰って家事をしているときは、わたしの後をつきまとって、クレイに牙を剥かれて。部屋でわたしが勉強するのをぼんやり観察して、わたしが眠るときに隣にふわりと横になる。

 由井くんはわたしのそばで、もう一週間ほど、そんな生活をしている。