「いちお、大野には聞いてみるけど……。もし衣奈がなにか変なことに巻き込まれてるなら、ちゃんと相談しろよ」
真顔でそう言うアキちゃんは、本気でわたしを心配してくれているみたいだ。
今のわたしは、思いっきり変なことに巻き込まれてるし。相談しろって言ってくれるアキちゃんの優しさは嬉しいけど……。
駅で会った青南学院の生徒らしきユーレイに、「衣奈ちゃんを好きだったことしか覚えてない」と言われて今も憑けられている、なんて。
言えるわけないし、言ったとしても信じてもらえるわけない。
「ありがとう」
アキちゃんにあまり余計な心配をかけるわけにはいかないから、とりあえずお礼だけ言って、にこっと笑う。
話しているあいだに、わたし達は昇降口までたどり着いていた。
下駄箱で上履きに履き替えていると、アキちゃんの元に同じ学年のサッカー部の男子が近付いてくる。
「矢本、おはよ」
「おう」
部活の友達と話し出したアキちゃんに、わたしは目で「先行くね」と訴えて、腰のあたりで小さく手を振った。



