「アイツ、アキちゃんていうんだ? アイツ、衣奈ちゃんとはどういう関係?」
空洞みたいな感情のない瞳でわたしを見つめる由井くん。その瞳の冷たさに背筋がゾクリとした。
「あ、アキちゃんは近所に住んでる幼なじみだよ」
「幼なじみ?」
ドキドキしながら答えると、由井くんがふわりとわたしに近付いてきて、目の奥まで覗き込むようにジッと見てくる。
「そう。小学校からの」
「ふーん……」
そう答える由井くんは、わたしとアキちゃんの関係を変に疑っているらしい。
こんなふうに疑うのも、彼がわたしのことしか覚えてないからなのかな。
わたしとアキちゃんが付き合ってるとでも思って、不安定になってるのかも。
「アキちゃんには彼女いるよ。里桜先輩って人」
「そう、なんだ……」
その瞬間、由井くんの表情がぱぁーっと明るくなり、改札の扉がパタンと開いた。
由井くんて思い込みが激しいけど、結構単純……。
改札の扉をバタバタさせていたのはやっぱり由井くんの力だったみたいで。謎の怪奇現象は治った。
ほっと息を吐くと、由井くんの気が変わらないうちに改札の外に出る。
ちょうどそのタイミングで、アキちゃんが駅員さんを連れて戻ってきた。



