今日も、由井くんに憑けられています……!


 なにこれ。壊れてる?

 わたしが通ろうとするたびに扉が開いたり閉じたりするのを見て、あとから来た人たちが、迷惑そうな顔でほかの改札を通るために迂回する。


「何してんの、衣奈」

「わたしじゃなくて、改札の扉が変なの」

 改札の外から声をかけてくるアキちゃんに答えていると、不意に背後から何かが近付いてくる気配がした。

 背中から感じる冷たい空気に身震いしていると、わたしの耳に低い声が届く。


「衣奈ちゃん、どうして先に行っちゃうの? それに、アイツ、誰?」

 振り向かなくても、背後に由井くんがいるのがわかる。

 作戦、失敗……。

 やっぱり、3両目の乗り場で彼を置いてくるのは無理だったみたいだ。

 改札の扉が、わたしの前でバタン、バタンと開いたり閉じたりを繰り返す。

 これはもう、故障とかじゃなくて怪奇現象。

 意図的なのかはどうかはわからないけど、この現象を引き起こしているのは由井くん……? 


「この改札、変だよな。ちょっと待ってな、衣奈。俺、駅員呼んでくる」

「え、アキちゃんっ!」

 バタバタと動いと止まらない改札の扉を見て、アキちゃんが走っていく。

 アキちゃんの姿が見えなくなると、改札の扉が閉じた状態で動きが止まった。

 ゆっくりと振り向くと、由井くんが無表情でわたしを見つめている。