「里桜先輩、早く良くなって学校に来てくれるといいね」
悲しい気持ちが表に出ないように無理やりに口角を引き上げると、アキちゃんが笑って頷いた。
「ありがとう。じゃあ、行くか」
「そうだね」
アキちゃんに促されて歩き出そうとしたとき、ふと、横顔に視線を感じた。
振り向くと、3両目の乗り場に立ったままの由井くんが、わたしを――、というよりも、アキちゃんのことを凝視している。そのまなざしに、なんとなくだけど、アキちゃんに対する敵意が混ざっているような気がした。
なんか、由井くん、怒ってる――?
なんで……? もし、由井くんがアキちゃんを金縛りに合わせてしまったら……。
由井くんは基本的には害のなさそうなユーレイだけど、わたしを金縛りに合わせたあのときだけは、様子が違って怖かった。
「あ、アキちゃん、行こうか……」
なるべく由井くんの視界にアキちゃんが入らないように、アキちゃんの肩を押す。
このまま改札の外に出れば、由井くんを引き離せるだろうか。それとも、やっぱり憑いてきちゃう……?
いずれにしても、アキちゃんだけは無事に改札の外に送り出してしまわなければいけない。



