「今日、里桜先輩は?」
訊ねてみたら、「なんか風邪気味なんだって」と、アキちゃんが教えてくれた。
「そうなんだ……。風邪、ひどいの?」
「微熱とちょっと喉痛いって。一日休めば大丈夫だと思うとは言ってたけど」
「心配だね」
「うん。昨日は夕方からけっこう風が吹いてきて寒かったからな〜。部活中、俺らはつねに走ってるからいいけど、マネージャーはあんまり動かないし体冷えちゃうんだよな」
心配そうな顔で里桜先輩のことを話すアキちゃんのことを見ていたら、ほんの少し胸が痛む。
里桜先輩のことを話すときのアキちゃんは、わたしが今まで見たことのない表情をしている。
里桜先輩のことが好きで、彼女のことを大切に想ってるっていう表情。それはきっと、幼なじみであるわたしには一生向けてくれない表情なんだろう。そう思うと、胸がチクチクする。
アキちゃんへの気持ちを自覚したときから叶わない恋だとわかっていたし、里桜先輩と付き合えて幸せそうにしている彼に気持ちを伝えるつもりもない。
だけど、一度好きだと気付いた気持ちは簡単に消えないから。やっぱり、少しせつない。



