少し離れたところから由井くんを見ると、困り顔で立っている彼の身体を通勤、通学中の会社員や学生たちが通過していく。その光景を見るのは初めてではないけれど、何度見てもやっぱり奇妙で不思議だ。
しばらく様子を見て、適当なところで由井くんから離れられるかどうか試してみよう。
そう思っていたら、後ろから誰かにぽんっと肩を叩かれた。
「おはよう、衣奈」
振り向くとアキちゃんがいて、にこっと笑いかけてくる。
「アキちゃん、おはよう」
「こんなとこでぼーっと何してんの? そういえば、昨日の朝も駅のホームで立ち止まってたよな。誰か待ってるとか?」
「そういうわけではないんだけど……」
ちらっと由井くんのほうを気にしながら答えると、アキちゃんが不思議そうに首を傾げた。
「ふーん? よくわかんないけど、誰も待ってないなら一緒に行く?」
「え……?」
アキちゃんからの誘いに、ドキッとする。
里桜先輩と付き合い出してからのアキちゃんは、毎朝、駅前のコンビニで待ち合わせをして彼女と一緒に登校しているのに。わたしを誘ってくるなんて、めずらしい。
まさか、里桜先輩となにかあったのかな……。



