満員電車の中で精いっぱいに由井くんから距離をとろうとすると、彼がにこっと笑いかけてくる。邪気のないその笑顔に、なんだかわたしの気が抜けた。
男の子から直接的な好意を向けられたことってあまりないけど、由井くんの笑顔やまなざしからは、どんなに鈍くてもわかるくらいに純粋な「好き」って感情が伝わってくる。
好意って、ふつう、こんなにもまぶしいくらいに真っ直ぐに向けられるものなのだろうか。それとも、由井くんはわたしのことしか覚えてないから、余計にそんなふうに感じられるのだろうか。
いろいろとよくわからないことが多いけど、由井くんはどうしてわたしのことが好きなんだろう。
ユーレイになる前、通学中のわたしを見かけて好き……、になってくれたのかな。
だとしても、やっぱりどうしてわたしなんだろうという疑問が沸いてくる。
化粧映えして華やかな顔立ちの瑞穂や、癒し系美人の里桜先輩と違って、わたしはどっちかっていうと平凡顔だ。
知らない人から話しかけられるのは道を聞かれるときくらいだし。どう考えても、話したこともない人に一目惚れされるような見た目じゃない。
それに由井くんみたいな顔立ちの整ったイケメンは、一目惚れするよりはむしろ、される側なんじゃないかと思う。
満員電車で揺られながら考えているうちに、わたしの高校の最寄り駅に到着した。



