「おはよう。クレイも朝ごはん食べる?」
足元にまとわりついてきたクレイに話しかけながら、しゃがむ。
昨日触れられなかった分まで、めいっぱい撫でよう。そう思ってクレイの頭に手を伸ばすと、クレイが身体を硬直させて、わたしのそばから跳びのいた。
「え……?」
いきなり態度を豹変させたクレイが、わたしに向かって「シャーッ」と歯を剥いて毛を逆立たせる。
「クレイ?」
名前を読んでみたけど、クレイはわたしの声など聞こえていない様子で。わたしの斜め後ろのほうを睨んで威嚇していた。
クレイが威嚇するほうを見ると、いつのまにわたしの部屋から出てきたのか、由井くんがふわりと浮いている。
青白い顔をした由井くんは、爪と毛を逆立てるクレイのことをちょっと怯えたような目で見ていた。
「え、衣奈ちゃん……。猫、遠ざけて」
遠ざけて、って……。そんなこと言われても……。
「クレイ、おいで。あっちにごはん出してあげる」
ちょっと興奮気味のクレイを落ち着かせようと手を出すと、由井くんのほうを睨んだクレイがわたしの手の甲にガリッと爪をたててきた。
「い、った……」
クレイに引っ掻かれるのは昨日に続いて二回目。昨日の傷はたいしたことなかったけど、今朝は引っ掻かれたところからうっすらと血が出ている。



