「おはよう。眠たくないって言ってたのに、結局寝たんだね」
「うん。昨日の夜は眠れそうになかったから、しばらくずっと衣奈ちゃんの寝顔見てたんだけど……。気づいたら、一緒に寝ちゃってたみたい」
「やめてよ。勝手に寝顔見るとか……」
「え〜、でも……、眠ってる衣奈ちゃんもかわいかったよ」
にこっと笑いかけてくる由井くんの表情は爽やかだけど、夜中にずっとわたしの寝顔を見てたとか、眠ってるのがかわいかったとか……。
彼の口から飛び出す発言は、ちょいちょい変態っぽい。
「とにかく、勝手に寝顔見るのはやめて。あと、勝手にわたしのベッドで寝ないで」
「え、なんで……」
「だって、目覚めたときにびっくりするし」
お互いに触ることも触られることもできないから、寝てる間に何かされる心配はないけど……。
「由井くんと同じベッドで寝るのは、なんかやだ」
そう言うと、由井くんの顔が、あからさまにガーンッとショックを受けたような顔になる。
「衣奈ちゃんにやだって言われた……。衣奈ちゃんに嫌われたら、おれ、これからどうすれば……」
由井くんが、ズーンと肩を落としてブツブツとつぶやく。
由井くんの背中からは、ゆらりと暗いオーラが漂い始めていて。なんだか関わると、面倒臭そうだ。
出会ったときからそうだけど、由井くんは何も覚えてないくせに、わたしに対する執着だけはやたらと強い。
ユーレイになる前の由井くんとわたしに、いったいどういう関係があったっていうんだろう……。
わたしは首をひねりながら静かにベッドを降りると、由井くんからそーっと離れて部屋を出た。



