青南学院の生徒なら、ほんとうは彼のほうがわたしよりもよっぽど頭がいいはずなんだけどな……。
パチパチとわたしに賞賛の拍手を送ってくる彼の笑顔に苦笑いが漏れる。
「これくらい、誰にでもすぐに考えつくことだと思うよ」
「そうかな」
「そうだよ。それより、通ってた学校の名前を聞いても何も思い出せない? 学年とか、友達の名前とか、入ってた部活とか」
何かを思い出すキッカケになりそうなキーワードを思いつくままに並べていく。そうしているうちに、ふと思いついた。
「ねえ、ブレザーの内側に名前入ってない?」
「ブレザーの内側?」
「うん。うちの高校は、制服を購入したときにブレザーの左胸の内側に名字を刺繍してもらえるの。ほら、これ」
着ている紺のブレザーのボタンを外すと、左側を開いてみせる。そこには〈三住〉というわたしの名字が白い糸で刺繍してあった。
「ほんとだ。衣奈ちゃんの名字って三住だったんだね」
ブレザーの裏に刺繍された名前を見た彼が、「知らなかった」とつぶやく。



