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当然のようにわたしのあとをついてくるイケメンユーレイを部屋に招き入れると、二階の廊下に誰もいないことを確認してから静かにドアを閉める。
「やっぱり、あなたがわたしから離れられる方法をちゃんと真剣に考えよう」
真面目に話し合おうと思って振り向くと、さっきまでわたしの後ろにいたはずの彼の姿が見えない。
あれ……、どこ行った? もしかして、自然に消えた?
あんまり心配することなかったのかも。
だけど、そんなふうに安心して喜べたのは、ほんの一瞬だけだった。
「はぁ、ここが衣奈ちゃんの部屋……」
ぐふっとくぐもった笑い声が聞こえてきて視線を巡らすと、イケメンユーレイが窓際に置かれたベッドにうつ向けに寝そべっている。
実際には、ベッドの掛け布団の上に微妙に浮いてる感じなんだけど。
「衣奈ちゃんの匂いがする……」なんて、実体もないくせに、スーハーと人の枕の匂いを嗅いでいる彼の姿は……。
ユーレイというより、変態……?
そういえばこの人、駅でも人の髪の匂い嗅いでたな。
あのときは取り憑かれたという恐怖心で、うっかり変態行為を見過ごしたけど。
彼の顔が良くなければ……。
いや、ちがう。彼がユーレイじゃなければ、即通報案件だ。



