ふと気付くと、さっきまではわたしの隣で浮かんでいた彼がわたしの背中に隠れるようにして息を潜めている。
「衣奈ちゃんの家、猫飼ってるんだね。すっごくかわいいけど……、おれ、ちょっと苦手かも……」
彼がもともと猫が苦手なのか、ユーレイが猫が苦手なのかはわからないけど……。
わたしの後ろで震える彼と、咲奈の腕の中でこちらを威嚇してくるクレイの相性が悪いってことは間違いないなさそうだ。
このまま彼が憑いている限り、わたしはクレイから威嚇され続けるのだろうか……。
このままずっとクレイのそばに近付けないままだったら……。ツヤツヤの毛を撫でることも、抱っこすることもできなくなってしまったら……。
絶対いやだ。
二年前に子猫だったクレイを拾ってきたときから、あの子はわたしの癒しなのに。
こうなったら、一刻も早くイケメンユーレイにはわたしから離れていってもらわなくてはいけない。
わたしはスーパーで買ってきたものを冷蔵庫に入れると、咲奈に抱かれたクレイに威嚇されながら、二階の部屋へと駆け上がった。



