「い、った……」
ビックリして手を引くと、クレイが咲奈の足元へと走って逃げる。
拾ってきたばかりの頃のクレイにはよく引っ掻かれたけど、最近ではこんなふうに爪をたてられることはなかったから、地味にショックだ。
それに、一番懐いているはずのわたしを拒否して咲奈の足元に逃げていってしまったことも……。
引っ掻かれた手の甲を押さえて茫然としていると、咲奈が足元に擦り寄ってきたクレイを抱き上げる。
「クレイ。どうしちゃっのー?」
咲奈に抱かれたクレイは、きゅっと小さく体を丸めて、まだわたしのことを警戒しているふうだった。
「クレイがお姉ちゃんのこと引っ掻くとか、おかしいよね。お姉ちゃん、帰ってくる途中になにか猫の嫌う匂いでもつけてきたんじゃない?」
「猫の嫌う匂い……?」
変な匂いをつけてきてはないと思うけど、今日のわたしは、いつもと違うモノを連れ帰ってきている。
もしかして、クレイはわたしのそばにいるユーレイの存在を感じ取っているのだろうか。



