ギリギリで駆け込み乗車してきたわたしを見て、ドア付近に立っていた人たちが少し迷惑そうに顔をしかめる。
いつもだったら他人にそんな顔をされたら恥ずかしさで消えたくなっちゃうけど、今は人の視線なんて気にしていられない。
とにかく、自分の身の安全が第一だ。
わたしが乗り込んだあとすぐに、電車がゆっくりと走り出す。
電車がホームを出ると、わたしはドアに背中を預けて、右手で左肩を触った。
もう肩は重たくないし、体も自由に動かせる。
ちゃんと、振り切れたよね。
だってあのユーレイは、あの駅の3両目の乗り場から動けない。
ほっと息を吐いたそのとき。
「やっぱり、衣奈ちゃんがキーパーソンだったんだね」
聞き覚えのある声がした。
落ち着いていたはずの心臓が、また、バクバクと早鐘を打ち始める。
どうか。どうか、空耳であれ……!
祈るような気持ちで視線をあげたわたしの前にいたのは、さっき駅で振り切っていたはずの青南学院の制服を着たイケメンユーレイ。
彼が、わたしの目の前でにこにこと嬉しそうに笑っている。



