「由井くんは、大丈夫。ちゃんと、元の身体に戻れる……!」
自分にも言い聞かせるみたいにそう言うと、由井くんが困ったように眉尻を下げた。
「衣奈ちゃん……」
「だって、また水族館デートするんだよね。今度は、イルカのショーを見に行くんでしょ」
ペンギンの水槽の前で、由井くんと交わした約束。それを口にすると、由井くんが表情を歪めた。
「そう、だけど……。でも……」
「今さら、やっぱりなしって言うのはなしだよ。由井くんが先に言い出したことなんだから。ちゃんと約束守ってよ」
今は、ネガティブな言葉も弱音も聞きなくない。
わたしは由井くんの言葉をさえぎると、不安そうに揺れる彼の目をまっすぐに見つめた。
「由井くん、言ってたよね。次は、他の人から見ても、わたしとデートしてるってことがちゃんとわかるようにしたいって。わたしだって同じだよ。由井くんとデートしてるってことを、ちゃんと周りの人にもわかってもらいたい。人前でふつうに由井くんと話して、由井くんにちゃんと触れたい」
人目を気にしてコソコソとしか話せないのも、由井くんが苦しんで震えているときに、ただ見ていることしかできないのも嫌だ。
もう、あんなにも歯痒くてもどかしい想いをしたくない。



