「由井く……、ここの病室の人になにかあったってことですか?」
切羽詰まった声で訊ねると、隣の病室のお姉さんが申し訳なさそうに首を横に振った。
「ごめん。そこまではちょっと……」
「そう、ですか……」
「大丈夫だといいね」
お姉さんは慰めるような声でそう言うと、わたしに会釈してから病室の中に戻った。
「由井くん、だめもとで、もう一回看護師さんに話を……」
お姉さんの姿が見えなくなってから由井くんを振り返ろうとして、ドクンと心臓が不穏に脈打つ。
さっきまで隣にいたはずの由井くんがいない。
焦って病室を覗くと、由井くんが空っぽになったベッドのそばにぼんやりと浮かんでいた。



