スライドドアの隙間から顔を覗かせたのは、20歳前後に見える若いお姉さん。
隣の病室に入院しているおばあさんの身内なのか、よくお見舞いに来ていて、何度か会釈程度の挨拶をしたことがある。
その人が、わたしのことを心配そうに見てきた。
「大丈夫? なんか、話し声が響いてきたから」
「すみません。うるさくして……」
慌てて頭を下げて、一度由井くんの病室に戻ろうとすると、隣の病室のお姉さんが「あの……」とためらいがちに口を開いた。
「隣に入院してた人だったら、何時間か前に先生や看護師さんが来て、バタバタと移動していったよ」
「え、なにか知ってるんですか?」
「詳しいことはわからないけど、花瓶に水を入れ替えてるときに隣の部屋でバタバタしてて……。ICUとかって話がちらっと聞こえてきてたかな」
「ICU……?」
それって、病状が危なくなった人が入るところだよね……?
焦りと不安で、心臓がドクドクとめちゃくちゃに音をたて始める。



