今日も、由井くんに憑けられています……!


 いつものように地元の駅の改札に近い3両目のドアの位置に並ぼうとして、わたしはハッと足を止めた。

 3両目の乗り場の前に、昨日の放課後も今朝も見かけた青南学院のイケメン男子高校生がいたからだ。


「衣奈ちゃん、よかった。やっと戻ってきてくれた」

 わたしの顔を見るなり、彼が嬉しそうに笑いかけてくる。

 そんな彼の身体を、4両目の乗り場から3両目に向かって歩いてきた他校の女子高生二人組がすり抜けていく。そのまま2両目の乗り場のほうに進んでいくふたりは、彼の存在にも、自分達が彼のお腹や腕の部分を通過していったことにも気付いていない。

 やっぱり、あの人が視えているのはわたしだけなんだ……。

 どうしよう……。

 わたしに爽やかな笑顔を振りまく彼は、ちょっと顔色が青白いけどイケメンだし、見た目は全然怖そうじゃない。

 だけど、どうしてずっとホームの3両目の乗り場の前で立っているのか不思議だし、会ったこともないのにわたしの名前が知られていることも謎だ。

 彼から少し距離をとって困り顔を浮かべていると、駅のホームにアナウンスが流れて電車が入ってくる。

 その間にも、ホームを歩いて移動する人たちが、彼の身体をすり抜けていく。その様子をしばらく見つめてから、わたしは彼に背を向けた。