「由井くん、大丈夫だよ。ゆっくり呼吸して……」
由井くんを落ち着かせようと、耳元で声をかける。
だけど、苦しそうに息を吐く由井くんに、わたしの声が届いているのかはわからなかった。
「由井くん、大丈夫……?」
今すぐ震える由井くんの手に触れて、できればきつく握りしめたい。それなのに、どうやっても触れられないことを歯痒く思う。
駅のホームで中条瑛士たちに会ったときも、アキちゃんから話を聞かされたときもそうだった。
こんなに近くにいるのに。わたしだけが、うずくまって震える由井くんの姿が視えているのに。
なにもしてあげられない――。
「由井くん……」
どれだけ名前を呼んでも、由井くんの震えは治らない。
「由井くん、由井くん……。わたし、どうしたらいい……?」
泣きそうになりながら呼びかけていると、由井くんがゆっくりと顔をあげた。



