「おれ、だめだった……」
「え?」
「衣奈ちゃんに釣り合うようになるために、見た目変えなきゃって頑張って……。でも、見た目変えたって中身はそのままで……。中条たちには逆らえなくて……。逃げるしかできなくて……。その途中に――」
震えながら話す由井くんが、なんのことを言っているのかわからない。
けれど、ぼそり、ぼそりと語られる言葉を聞いているうちに、由井くんがなにかを思い出しかけているのかもしれないと気付いた。
今までどんなことをしても、なにも思い出せなかったのに。どうして急に……。
もしかして、わたしを助けるために力を使ったから……?
その可能性を考えて、サーッと血の気が引いた。
わたしのせいで、由井くんの記憶がおかしなふうに戻っているんだとしたらどうしよう……。
記憶喪失だった人がなにかを思い出すときって、こんなに苦しそうになるの……?
知識がなさすぎて、わからない。



