「由井くん……!」
謝ってお礼を言おうと振り向くと、後ろにいるはずの由井くんの姿が見えない。
「由井くん……?」
胸騒ぎに震えながら、きょろきょろ視線を動かすと、少し離れたところで、由井くんがしゃがんでうずくまっていた。
背中を丸めた由井くんは、ホームで中条 瑛士たちに会ったときのように、ガクガクと小刻みに震えている。
「由井くん……!」
慌てて駆け寄ると、由井くんが縋るような目でわたしのことを見てきた。
「衣奈ちゃん……」
わたしに向けて差し出された由井くんの手。震えるその手をつかもうとして、わたしの手が、すり抜ける。
「衣奈ちゃん、怖い……」
由井くんの目が、虚ろにわたしを見つめて揺れる。



