今日も、由井くんに憑けられています……!


『衣奈ちゃん、おれが元に戻ったら、また一緒に水族館デートしてくれる?』

 水族館を出てからもずっと、由井くんに言われた言葉がわたしの心を揺さぶり続けている。

 ふと見ると、目の前の横断歩道の青信号が、チカチカと点滅し始めていた。


「急ごう、由井くん」

 少しでも早く病院に辿り着きたくて、周囲も確かめずに道路へ飛び出そうとした、そのとき。


「衣奈ちゃん……!」

 キキーッと耳をつんざくような音が響いて、道路に飛び出そうとした身体が風圧のようなもので歩道側に押し戻された。

 びっくりして目を見開いたわたしの前で、交差点を曲がってきたトラックが横断歩道に侵入してくる。

 トラックは、そこそこにスピードを出していて、風圧で押し戻されなければ、わたしは轢かれていたかもしれない。

 こういうこと、前にもあった。

 自転車に乗っていたとき、ぼーっとして電柱にぶつかりかけたわたしを、由井くんが不思議な霊力みたいなもので守ってくれたのだ。

 また、助けられた……。