◇
水族館を出て、由井原総合病院の最寄駅に着く頃には、陽が落ちて、あたりがずいぶんと暗くなっていた。
「面会時間、大丈夫かな……?」
由井くんにスマホで時間を見せながら、つぶやく。
まだ面会は可能だと思うけど、あまり長居はできないと思う。
「今日は顔だけちらっと見て、明日また、衣奈ちゃんの学校帰りにゆっくり会いに来ようよ」
自分のお見舞いに対して、由井くんは呑気にそう言うけれど、わたしは少し気が急いていた。
今まで元の身体に戻ることにあまり意欲的でなかった由井くんが、ようやく前向きになってくれた。だから、善は急げというか……。
できるだけ由井くんが前向きな気持ちでいるうちに、由井くん本体と会わせたほうが、元に戻れる確率があがるんじゃないかと思ったのだ。
それに、わたしの気持ちにも少し変化があって。ユーレイ状態の由井くんから早く元の身体に戻ってもらいたいとう気持ちが強くなっている。



