「空飛んでるみたいだ……!」
「うん……」
由井くんの声を聞きながら、気持ちよさそうに泳ぐペンギンを見上げていると、ふいに横顔に視線を感じた。
振り向くと、由井くんと目が合って。彼が、優しく目を細めて微笑む。
「衣奈ちゃん、今日は連れてきてくれてありがとう」
「うん……」
由井くんの言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなる。
アキちゃんに話を聞いたあとから、自分が二度も死のうとしたかもしれないと落ち込んでいる様子の由井くんだったけど……。少しは前向きな気持ちになれてくれるといいな。
にこりと笑い返すと、由井くんがわたしの手を繋ぐように手を伸ばしてくる。
体温も、質感もない。だけど、その仕草だけで、彼にほんとうに触れられたような気がして胸が騒いだ。



