「今度があるかは……、わかんないけど……」
慌ててごまかそうとするわたしを見て、由井くんがにこっと笑う。
「約束だよ」
「だから、わかんないってば……!」
つい大きな声を出すと、周囲にいた人が怪訝な目でわたしを見てくる。
「もう、急にひとりで叫び出した変な人みたいになったじゃん……」
うつむいて顔を隠すと、小声で文句を言いつつアザラシの水槽から離れる。
「待ってよ、衣奈ちゃん」
あとから追いかけてくる、わたしにしか聞こえない由井くんの声は機嫌が良さそうで。なんか、くやしい。
いや、違う。ちょっと恥ずかしいのかも……。
早足で歩いていくと、ペンギンの展示コーナーにたどりつく。
水の中を泳ぐペンギンの姿が、高層ビルの並ぶ空を飛んでいるように見える。そんなペンギンの水槽が、この水族館では特に有名だ。
立ち止まって上を見上げると、追いついてきた由井くんもわたしの横で水槽を見上げる。



