由井くんの勧めで水族館のカフェで飲み物を飲んで休憩したあと、深海魚とか川魚のコーナーを回った。
ずっと魚ばっかりだったけど、途中にコツメカワウソがいて。かわいい姿に癒される。
それから、屋外の展示コーナーに進んでアザラシを見た。
「ここって、イルカはいないの?」
水槽の中をクルクル回りながら泳ぐアザラシを見ていると、由井くんが、ふと思い出したように聞いてくる。
「ここはビルの中にある水族館だからね。イルカとかクジラとか大きいのは、敷地の広いところじゃないと見れないんじゃない?」
「そっかあ。イルカのショーとか見たかったな」
「イルカかあ……。じゃあ、今度はもっと事前に調べて、イルカショーのあるところに行こうか」
何気なくそう言うと、由井くんが嬉しそうに顔を綻ばせる。
「え、今度もあるの?」
期待のこもった目で由井くんに見つめられて、あたりまえみたいに「今度」なんて口にしてしまった自分に驚いた。
由井くんに出会ったからずっと、わたしは彼のことを引き離したいと思ったのに。
彼が事故で幽体離脱状態になってるってわかってからは、元の身体に戻れるように試行錯誤しているところなのに……。
由井くんがそばにいること前提で、無意識に次の約束をしようとしていたことに動揺してしまう。



