「クラゲって、刺されると痛い海の危険な生き物って印象だったけど……。実はこんなに綺麗だったんだね」
由井くんの隣でライトに照らされながら上へ下へと揺らめくクラゲたちを見ていると、彼がわたしを振り向いて、ふっと笑った。
クラゲみたいな、半透明の由井くんの笑顔が、青から紫色に変わるライトに照らされる。
その笑顔がとても綺麗で。だけど、水槽の水の中に溶けて消えていってしまいそうで。
ふいに、喉にぎゅっとなにかがつっかえたような気持ちになる。
「由井くん……」
反射的に伸ばした手が、彼の手の指先をすり抜ける。
由井くんに触れられないことなんてわかっているはずなのに。由井くんをすり抜けてしまった自分の手が、指先から冷えていくような気がした。
わたし、どうしたんだろう……。
今日は由井くんに元気になってほしくてここに来たのに。水槽を見つめて楽しそうにしている由井くんを見れて嬉しいのに。
彼が一瞬消えそうに見えたことが、わたしを急に不安にさせた。



