「行き先、ここしか思いつかなかったんだよね……」
水槽の海を泳ぐ魚たちを見つめながらつぶやくと、由井くんが「ん?」と首をかしげた。
わたしの顔を覗き込むように見てくる由井くんを見つめ返しながら、あれ、これってデートみたいじゃない……? と思う。
結構前に由井くんと青南学院に出かけたとき、彼が「デートだ」ってはしゃいでたことがあったけど……。
そのときよりも、今の状況のほうがよっぽどデートっぽい。
「衣奈ちゃん?」
ぼんやりするわたしを、由井くんが不思議そうに見てくる。
デートだって意識してしまったからか、それとも薄暗い水族館の照明のせいなのか。
小首をかしげた由井くんの顔が普段よりも儚く綺麗に見えて、ドキッとした。



