日曜日の水族館は、思っていたよりも人が多かった。

 由井くんを元気付けたくて外に誘い出したはいいけど、水族館に着いてから、わたしは周りにいるのがカップルや友達、家族連ればかりだということに気が付いた。

 チケットを買うときや、入り口でスタッフに入場券を渡すとき、ひとりで水族館に遊びに来ている淋しい女だと思われるかな。

 内心ドキドキしたけど、わたしがひとりでいることを気にするような人は誰もいなかった。

 水族館の薄暗さや人混みが、自然とわたしをその場に馴染ませてくれたし、案外みんな、他人のことなんて気にしてない。

 都会のビルの合間にある水族館は、屋外も含めて展示スペースが3フロアあって、思っていたより広かった。

 入り口を入るとすぐに、サンゴ礁の海をイメージした広い水槽が見えてきて。わたしと由井くんはそれぞれ吸い込まれるように、水槽に近付く。