学校でも家でも、由井くんの本体が入院している病院でも、肩を落として暗ーい顔をしている彼と一緒にいると、わたしまで憂鬱な気分になってくる。

 トーストとミルク多めのカフェオレ。

 そんな簡単な朝食を終えてリビングを出ると、由井くんがフラ〜、フラ〜と、今にも倒れるんじゃないかと思うくらいの頼りなさでついてきた。

 部屋に戻って机の上に置いていたスマホを手にとったわたしは、地図アプリを開く。


「ねえ、由井くん。今日は気分転換にどこか行こうか」

「え……?」

 わたしの提案に、由井くんが緩慢な動きで顔をあげる。


「水族館とかどうかな?」

 ペンギンの水槽が有名な、うちから一番近い水族館。そのホームページを見せると、由井くんがひさしぶりに、少し笑顔を見せてくれた。