◇
「衣奈ちゃん、おれ、二回も自分から死のうとしたの……?」
アキちゃんが帰ったあと、由井くんが震える声で問いかけてきた。
アキちゃんの話を聞いてから、由井くんは真っ白な顔で部屋の隅にずっとうずくまっている。
その姿が、駅のホームの白線の外側で座り込んで震えていた、現実に見た由井くんの姿と重なって、ぎゅっと胸が詰まった。
「それは、わからないよ。アキちゃんが言ってたのは、あくまでも青南学院の一部の人たちのウワサでしょ」
由井くんの前に座って慰めの言葉をいろいろとかけてみるけれど、ダークモードに入ってしまった彼の耳に、わたしの言葉が届いているかはわからない。
アキちゃんから中条 瑛士や事故の話を聞いた由井くんは、その話からなにかを思い出したというわけではないらしい。
それでも、自分が二度も自ら命を絶とうとしたかもしれない事実に衝撃を受けて落ち込んでいるみたいだった。



