「どうした、クレイ。急にすごい怒り出すじゃん」
「そうなんだよ。なんか知らないけど、最近、衣奈姉の顔見るとすげえ怒るんだ。クレイ、衣奈姉のこと、大好きだったのにな」
拓がアキちゃんにそう言って、クレイを宥めるように背中を撫でる。
クレイのいるリビングで、落ち着いてアキちゃんと話すのはムリだ。そう思ったから、わたしはアキちゃんを二階の部屋へと案内した。
部屋の床にクッションをふたつ置いてアキちゃんと向かい合わせに座ると、由井くんもわたしの隣にやってきて正座する。
ちょうどそのタイミングで、アキちゃんが「この前聞かれた瑛士って人のことだけど……」と、話を切り出してきた。
「なにかわかった?」
「わかった、っていうか……」
由井くんがなにも思い出さない以上、頼みの綱はアキちゃんからの情報のみだ。
だけど……。話を聞こうと前のめりになるわたしを見て、アキちゃんが口ごもる。



