「あいつのこと、衣奈ちゃんの部屋に入れるの?」
「話の内容によってはね」
そう答えると、由井くんがますます嫌そうな顔をする。
アキちゃんになにかをするつもりはもうないと思うけど、由井くんはやっぱり、今もアキちゃんのことがあまり好きではないらしい。
「とりあえず、家まで急ごう」
わたしが歩くスピードを早めると、由井くんは少し不満顔でついてきた。
「ただいま」
「あ、衣奈姉、おかえり。アキちゃん来てるよ」
家に着くと、アキちゃんはすでにうちに来ていた。
由井くんと一緒にリビングに入ると、拓と一緒にソファーに座ってゲームして待っていたアキちゃんが、「おかえり〜」とわたしに向かって軽く手を挙げてくる。
「早かったんだね」
アキちゃんのところに歩み寄ろうとすると、ソファーの上で寝ていたクレイが急に立ち上がってわたしを――、ではなく、わたしの後ろにいる由井くんを睨んで「シャーッ」と毛を逆立てた。
それを見たアキちゃんが、ちょっと驚いたような顔をする。



